現在、春の全国交通安全運動が行われていることは、大抵の方がご存知だと思います。
昨年12月施行の改正道路交通法によって『道路の右側路側帯の通行禁止(三月以下の懲役又は五万円以下の罰金)』についてはメディアでも取り上げられ、ご存知の方も多いことと思います。
でも意外と知られていないのが『罰金』は『刑事処分』に当たる、ということ。
罰金は『刑』、つまり『前科扱い』となる『処分』に該当するということは、安易な気持ちで車道の右側通行をして『罰金』となったからと言ってお金さえ払えば良いのではなく、検察庁に出頭し『刑事裁判』を受けるという厳然たる事実が待っています。
そこで・・・道路交通法には、なかなか不可思議な項目や面白い項目、と言うのが存在するのですが、一部抜粋してご紹介したいと思います。
『第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつこれらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。(五万円以下の罰金)』
ところで、皆さん、手信号、出してますか?学校で習ったような気がするけど、出してない、と言う方も多いのではないでしょうか?
手信号を出さないと、五万円以下の罰金という罰則規定もあるんですが、実は太字の部分、実際にやってみると不可能なんです。右手で右折の手信号を出しながら、右に曲がる、なんて曲芸みたいなもので、実際に自転車に乗ってやってみるとあっという間に落車(転倒)します。この部分は、国会の皆様に早急に修正してもらいたいですね。
実際にスポーツバイクなどに乗っている人は、曲がる前に手信号を出して、後ろに伝達できたと思ったらハンドルを両手でちゃんと持って曲がります。こうしないと危険ですし、手信号を出すのは、周囲の人(自転車だけでなく、車など)にも自分の挙動を伝えることで安全を確保する意味もあります。
恥ずかしがって手信号を出さないと、道路交通法違反で五万円以下の罰金だけならまだしも、事故に遭っては元も子もありませんからね。
『第五十四条 車両等(自転車以外の軽車両を除く。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。(五万円以下の罰金)
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。(二万円以下の罰金又は科料)』
これ、分かりますか?
警音器(=ベル)は、道路の見とおしがきかないところでなおかつ道路標識がある場合のみ、『鳴らさなければならない』んです。反対に、危険を防止するためにやむを得ないとき以外は『鳴らしてはならない』んです。
と言うことは、よく見かける「歩道上でチリンチリン♪」と鳴らしながら、歩行者にそこのけそこのけ、と通っている自転車は二万円以下の罰金を課せられるんです。ご注意あれ!
では最後にここで一つ問題を・・・。
道路交通法上では、軽車両と普通自転車の二種類の記述があります。では『歩道を通行できる』とされている『普通自転車』って何でしょう?
実は、第六十三条で『車体の大きさが内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの』と明確に記載されています。
で、その基準はと言うと・・・『長さ190cm・幅60cmを超えないもの』とされています(その他にも制限はありますが・・・)。
よく街なかで見かける『さすべえ』をつけて傘(日傘)をつけた自転車、これは幅が60cmを超えて車体と一体化しているので、『普通自転車』に適合しないんです。つまり、『歩道を通ってはいけない』自転車なんですよね。
他にも、リヤカーのように荷物運搬用の台を付けた『業務用自転車(会社へのお菓子の設置会社とか、飲料販売会社とか、宅配業者とか・・・)』は『牽引』し、なおかつ『長さ190cm』を軽く超えているので、歩道上を通行していたら、本来は検挙の対象になっています。でも、実際には歩道上を『走って』いますよね。NGです!警察にもきちんと認識して、取り締まりをお願いしたいと思います。
因みに、歩道上を『通行』とあるのは『車道寄りを徐行』しなければならず、歩行者の通行を妨げるときは『一時停止』しなければならないので、『走って通る』ことは出来ません。
さて、どれぐらいご存知でしたか?
自転車で前科者、なんてあり得ないと思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、是非、自転車のルールをきちんと理解して、安全にお過ごし下さいね!
自転車での道路交通法をきちんと理解したいという方は、自転車ツーキニスト・疋田智さんの『自転車”道交法“Book』を読まれるか、こちらの『自転車の道路交通法』サイトを参照してみて下さい。まだまだ、目から鱗のパターンもあると思いますよ。